行政書士三品美咲事務所
契約書を作る前に、以下を必ず確認します。
著作物の特定:何を対象にするのか(文章、イラスト、ソフトウェア、映像など)
著作者(権利者)の特定:誰が著作者か、共同制作の場合の扱い
契約の目的:利用を許諾するのか、権利を譲渡するのか
利用者の範囲:企業か、個人か、再委託する可能性があるか
著作権の契約は大きく分けて2つです。
著作権譲渡契約
権利そのものを移転する契約。利用者が自由に利用できるが、著作者人格権は譲渡できない点に注意。
著作権利用許諾契約(ライセンス契約)
権利は著作者に残したまま、利用の範囲を定めて許可する契約。一般的にこちらが多い。
実務で漏れがちなポイントを含めてまとめます。
(1)著作物の特定
文章の場合 → タイトル、提出日、ファイル名
画像や動画の場合 → ファイル名、納品日、仕様書の添付など
(2)利用範囲の明示
利用目的(広告用・社内資料用・出版用など)
利用地域(日本国内のみ/全世界)
利用期間(無期限か期間限定か)
複製・翻案・二次利用の可否
(3)報酬・対価
一時金、継続使用料(ロイヤリティ)、成果物納品後の支払い条件
消費税の扱い
(4)著作者人格権への対応
実務では「著作者人格権を行使しない」旨の条項を入れるのが一般的
(例:改変・翻案に異議を述べない)
(5)再許諾・再委託
委託先がさらに外注する可能性がある場合、許可の要否を明記
(6)権利侵害への対応
第三者から権利侵害を主張された場合の責任分担
裁判対応・損害賠償の範囲
(7)契約終了後の扱い
契約終了後も利用可能か
データの返還・削除義務の有無
「全部譲渡」と書いても実は曖昧
→ どの著作権(複製権、上映権、公衆送信権など)を譲渡するのか、明記が必要。
著作者人格権の扱いを忘れがち
→ 契約書に入れないと、後で改変や公開に異議を唱えられる可能性あり。
外注業務委託契約だけでは不十分
→ 著作権条項を入れないと「成果物=委託先の著作物」になってしまうことも。
「フリー素材」との混在
→ 外注先が無断でフリー素材を使っていた場合、権利侵害の責任が発注側に及ぶリスク。
ヒアリング
対象著作物・利用目的・契約当事者の確認
↓
契約形態の整理
譲渡か利用許諾かを決定
↓
ドラフト作成
利用範囲・対価・権利条項を明確化
↓
相手方チェック
交渉段階で修正の可能性あり
↓
契約締結(署名・押印または電子契約)
のような流れになります。
著作権は「知っているつもり」で使ってしまうと、大きなトラブルに発展しかねません。
事業者やクリエイターの方が安心して活動を続けるためには、契約書の整備や事前の確認が欠かせません。
行政書士三品美咲事務所では、著作権相談員の資格を活かし、著作権に関する契約・相談に幅広く対応しています。お気軽にお問い合わせください。