

行政書士三品美咲事務所
🔷 概要:「経営・管理」ビザとは?
「経営・管理」ビザ(正式名称:在留資格「経営・管理」)は、外国人が日本で会社を設立し、事業の経営を行う、またはすでに存在する会社や事業の管理に携わるために必要な在留資格です。
🔷 主な対象者
日本で新しく会社を設立し、自ら代表取締役などとして事業を経営する人
既存の日本の会社に雇われて、経営・管理の職に就く人(例:支店長、工場長など)
🔷 主な要件(会社設立型の場合)
事業所の確保
実際のオフィスが必要(バーチャルオフィス不可)
資本金要件
500万円以上の投資が必要(※申請者が出資する)
事業の継続性
事業計画が現実的・継続的であることを証明
従業員雇用(推奨)
日本人または永住者等を常勤で2人以上雇用するか、それと同等の事業規模であることが望ましい
本人の経歴
ビジネス経験があると有利だが、必須ではない(起業初心者でも可能)
🔷 必要な書類(例)
会社の登記簿謄本
事業所の賃貸契約書
事業計画書
資本金の出資証明(銀行の入金記録など)
会社の定款
雇用契約書(雇用者がいる場合)
住民票(日本に既に住んでいる場合)
🔷 在留期間
最初は一般的に「1年」または「4ヶ月(短期設立準備用)」が与えられ、その後、事業の実績に応じて「3年」「5年」へ更新可能です。
🔷 その他の注意点
「経営・管理」ビザを持っていても、単純労働や他の会社で働くことは不可です(あくまで経営者・管理者に限定)。
設立準備の段階では、「短期滞在」や「4ヶ月の経営・管理ビザ(設立準備用)」を取得してから、本申請に移行するケースもあります。
家族を呼ぶためには、「家族滞在」ビザの手続きが必要になります。
🔷 どんな業種でも取得できるの?
基本的に合法な事業であれば、業種の制限はありません(例:飲食業、貿易業、IT、コンサルなど)。ただし、風俗営業など一部規制のある業種は要注意です。
ここまでが従来の許可基準でした。
出入国在留管理庁は8月26日、日本で起業する外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」について、取得に必要な資本金の要件を現行の6倍となる「3000万円以上」に引き上げる法務省令案を公表しました。
10月中旬から実施する方針とのことです。
参考:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA120140S5A810C2000000/
✅ 1. 許可率が下がる
明確に「基準を満たしていない」申請は不許可になる可能性が高くなります。
過去に通っていたような「グレーゾーン」の申請(小規模投資、実態の薄い事業計画など)は不利に。
✅ 2. 事業実態の審査がより厳密に
形だけの会社設立(ペーパーカンパニー)を防ぐため、次の点が重点的にチェックされます:
本当に使用している事務所か(写真や内見の確認)
出資金の出所が正当か(銀行送金の記録など)
実際に営業活動しているか(取引先、売上、請求書など)
✅ 3. 事業計画書のクオリティが重要に
適当に作成した事業計画書では許可されにくくなる可能性あり。
収支計画、マーケティング、運営体制、採算性などを客観的に説明できることが必要。
✅ 4. 審査期間が長くなることも
書類の追加提出を求められたり、面談を行うケースが増えると、審査期間が伸びる傾向に。
特に不明確な点があると、入管からの「質問書」や「ヒアリング」が行われることもあります。
許可基準が厳格化される理由には、以下のような背景があります
✴️ 偽装ビジネスの増加
実態のない会社を設立し、在留資格を得るケースの増加
✴️ 技能実習制度や留学生からの不正転用
留学生などが名義貸しで経営者になりすましビザを取得
✴️ 地域の治安・雇用環境への懸念
適切でない事業が地域社会に影響を与えるケースの防止
🔻 小規模起業家
投資金額が少ない、従業員を雇っていない場合、不許可のリスクが増加
🔻 設立準備中の人
準備段階での不備があると、そもそも申請を受け付けてもらえないことも
🔻 コンサル・代行業者
書類の品質や説明責任がより重要になるため、経験のない業者は使えなくなる可能性
✅ 資本金をしっかり準備する
自己資金の出所説明も明確に。
✅ 実体のある事業所を確保する
住所のみの登記では不可。内装・設備も必要。
✅ 本格的な事業計画書を作成する
売上予測、ターゲット市場、競合分析などを含めること。
✅ 早めに専門家に相談する
行政書士やビザ専門コンサルとの連携でリスクを回避。
今回の厳格化で、形だけの申請が通りにくくなることが予想されます。
しかしきちんと準備すれば取得は可能です。
在留資格でお困りの方は一度ご相談ください。お待ちしております。