
現役行政書士自身が帰化申請をしてみた!

行政書士三品美咲事務所


こんにちは。行政書士の三品美咲です。
今回は現役行政書士であり在日韓国人だった私自身が、実際に帰化申請をしようと思った経緯や葛藤、帰化申請に対する想い、帰化申請後の心境などを書いていこうと思います。
一度は諦めた帰化申請
私は行政書士になる以前19歳の頃に1度帰化申請をしようと思い、何人かの行政書士さんに実際に相談をしたり、韓国大使館に出向いたことがありました。
当時はまだ何の知識もなく、戸籍謄本の存在や本籍地がどこなのか、家族関係証明書が何なのか等全くわかっていない状態でしたので、行政書士の方が説明してくれた内容もチンプンカンプンだったり、そもそも私の事案が複雑で相談の時点で門前払いを食らうこともありました。
専門用語が多くて理解出来ない自分にイラついたり、韓国大使館で嫌な顔をされたり、当時はまだ未成年で申請するには親の協力が必要だったこともあり、色々考えた結果断念することにしました。
今思うとこの時点ではまだ本気で帰化申請と向き合いきれてなかったなと感じます。
自身が行政書士として開業&再び帰化申請へ
それから月日がたち、帰化申請についてもっと情報が欲しい、理解を深めたいという想いから自分が行政書士になればいいじゃないかという思考にいたり、主人の後押しもあって試験に挑みました。そして25歳の時に開業する事ができ、ほぼ同時期に帰化申請に再チャレンジする決意を固めました。
実際の帰化申請
私がまず法務局へ電話をしたのが5月のことでした。
当時はかなり混んでいたこともあり、最初の相談予約が取れたのが約半年後の10月でした。
その間に行政書士会の講義や、帰化申請の体験談をネットや書籍などを通して勉強したり、出来る範囲で届出や証明書などを取得して自分の置かれている状況の整理だったり、確認作業をしていました。
この作業のおかげで、最初の相談の時に聞きたいことをしっかり聞けたし、取得した証明書を実際に担当者に見てもらうことにより正確に自分の置かれている状況を説明することができましたので、とても良かったと感じています。
- 法務局への予約は早めに取る
- 事前に相談したいことをまとめておく
- 最初の相談時間は2時間
一回目の相談の時に、帰化申請の流れや用意する書類などの指示を受けました。
それを次回の相談の時までに準備し、不備なく揃っていたらそのまま申請する事ができるとのこと。
私はなるべく早く終わらせたいという想いがあったため、内容をかなり煮詰めて相談をしました。
担当者の言う事をキチンとメモしたり、わからないことはわかるまでしっかり聞きました。
(それでも後からわからないことも出てくるので、そういう時は電話して積極的に聞きました。)
次回の予約もこの時に取るのですが、やはり半年待ちでした。
集める書類にはそれぞれ有効期限があったりするので、次回の相談の日に合わせて取得していく必要があります。
しかし書類の不備があったりするとその時に申請が出来ないので、再度予約を取らないといけなくなります。そうなると今度は書類の有効期限が来てしまい、いたちごっこになってしまいます。
そうならないように、書類の取得時期にはかなり気を付けました。
- 書類の有効期限はそれぞれ違う
当時私の置かれていた状況は、
・韓国に両親の婚姻届と私の出生届を出していない
・母親の分の出生届も出されていない
などの理由から韓国では私は存在しないので、
国籍は韓国だけども本籍地は韓国にも日本にもない状態でした。
なのでかなり大事な書類を取得できないことになります。
親になぜ届出をしてくれなかったのかを尋ねると、知らなかったとだけ返されました。
当時はかなり親を憎みましたし、無知は罪だなと痛感しました。
ネットや他の行政書士さんにこのことを相談しても、皆さん難しい顔をされたり、わからないからと言われたりで、自分は一生帰化申請はできないんじゃないかと落ち込んだ時もありましたが、実際にはやり方なんてたくさんあるし、意外とシンプルだったりします。
やる前に色々考えてネガティブになっていたので、これから帰化申請をしようとする方々には難しいことは考えずに挑戦してほしいなと思います。
- 必要書類が入手できなくても帰化申請は出来る
そんなこんなで年が明け、4月に二回目の相談をしに法務局へ向かいました。
この時は何としてでも今日で申請をしたい!もう終わりにしたい!とかなり意気込んでいました。
というのも、帰化申請の最大の難所は申請出来るかどうかなんです。
申請をしてしまえばあとは余程の事がない限り許可がおります。
この申請をするまでが大変なんです。
余分に書類を印刷したり、指示されていない書類を持って行ったり、どうにか不備がないように準備をしていきました。
結論、不備はあったのですが無事に申請を受け付けてもらえました。
足りない書類は後日郵送する事に。
完璧に揃っていないと受け付けてもらえないんだろうなと思っていたので、その心配は取り越し苦労だったようです。
書類を郵送するときも、追跡サービスがあるものを選びました。
もしも紛失してしまったら大変ですからね。
- 帰化申請は申請をするまでが大変
- 書類に多少の不備があっても申請を受け付けてもらえる
申請から約7ヶ月後の11月に、法務局から面接に来るよう電話がありました。
やっとここまで来たかという思いと、どういう質問をされるんだろうという緊張で当時はそわそわしていたのを覚えています。
電話から1週間後に法務局へ向かいました。
ネットでは、30分~1時間くらいが目安と書いていましたが、実際には10分で面接は終わりました。
聞かれることも基本的なことなので特に問題もなく終わったなという感じです。
- 面接時間や内容は人によって様々
面接から2週間ほどして法務局から電話がありました。
・申請内容に変更はないか
・直近で海外旅行に行く予定はないか
を聞かれました。
この電話からさらに2週間ほどたち、12月23日についに官報に名前が乗りました。
この時は毎朝官報を確認するのが日課となってましたので、自分の名前を見つけたときは泣きながら家族に電話で報告をしました。
同日の午後に法務局からも電話があり、「おめでとうございます」とお祝いの言葉を頂けました。
その際に、在留カードの返却だったり、帰化届に関しての案内がありました。
帰化の許可がおりたのが年末だったので、大急ぎで手続きを行いました。
- 帰化の許可がおりると官報に名前が載る
- 帰化後2週間以内に在留カードの返却義務あり
- 帰化後1ヶ月以内に帰化届の提出義務あり
帰化申請を終えて
手続きを済ませると、1ヶ月ほどで日本の戸籍が出来上がります。
人生初めての戸籍謄本を手にし、まず最初にパスポートを作りました。
小さい頃から夢に見た赤いパスポートです。
本当に本当に嬉しかったです。
最初から日本国籍で産まれた方々には中々共感してもらえないと思うのですが、小さい頃から自分の戸籍がどこにもなかった身としましては、存在をやっと認めてもらえたような気がして本当に嬉しかったんです。
諦めずにやって良かったし、帰化申請で困ってる方々の助けやきっかけになればと思いこのコラムを書きました。
私の体験が誰かのお役に立てれば幸いです。
・帰化申請は難しいから出来ない
・必要書類とされる書類が取得できない
・何からやればいいかわからない
行政書士三品美咲事務所では、帰化申請に関するご相談を承っております。一人で抱え込まずまずはご相談ください。
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