
ヨーロッパ周遊がスムーズに!シェンゲンビザ完全ガイド【中国人・フィリピン人必見】

行政書士三品美咲事務所


日本で暮らす外国人が日本人と海外旅行に行こうとした場合、必ずと言っていいほど話題に上がるのは「ビザ」です。「なぜ日本人はいらないのに、私は要るの!?」となる代表格。それが、ヨーロッパに行く際の「シェンゲンビザ」です。
今回はシェンゲンビザの概要、取得方法を解説します。中国の方、フィリピンの方をはじめ、シェンゲンビザが必要な国籍の方と、そのお友達は必見ですよ!
シェンゲンビザとは?
シェンゲンビザは、シェンゲン協定加盟国に短期滞在する際に必要となるビザです。このビザを取得すると、シェンゲン協定加盟国間を自由に移動でき、各国の出入国審査が原則不要になります(例外的な状況を除く)。
短期滞在とは、あらゆる180日の期間内で最大90日間の滞在をさします。観光、ビジネス、親族訪問など、さまざまな目的で利用できます。
シェンゲン協定とは?

シェンゲン協定とは、ヨーロッパの国家間で締結された、国境検査なしでの自由な移動を認める協定です。1985年にルクセンブルクのシェンゲンで最初の協定が結ばれ、その後、加盟国が拡大しました。
シェンゲン協定加盟国は以下の27カ国です。
オーストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス
EU加盟国のうちシェンゲンビザの対象外なのは、キプロス。シェンゲンビザ対象国のなかでEUではないのは、スイス・ノルウェーが当てはまります。イギリス・アイルランドはいずれも対象外です。
シェンゲン協定加盟国間では、通常、国境でのパスポートチェックなどの出入国管理が行われないため、まるで一つの国のように自由に移動できます。これにより、ヨーロッパ内の旅行やビジネスが大幅に効率化されています。
シェンゲン協定のメリット
- 自由な移動: 加盟国間をスムーズに移動できるため、複数の国を訪れる旅行プランが立てやすい。
- 時間短縮: 国境での審査がないため、移動時間が短縮される。
- ビジネスの促進: 企業活動や商談がしやすくなる。
シェンゲン協定の注意点
シェンゲン協定は、すべてのEU加盟国が参加しているわけではありません。(例:アイルランドはシェンゲン協定に加盟していません。)またテロ対策などのため、一時的に国境検査が復活することがあります。
シェンゲンビザは、あくまで短期滞在のためのビザであり、長期滞在や就労は許可されていないことも注意が必要です。
シェンゲンビザが必要になる国籍は?
シェンゲンビザが必要となるのは、シェンゲン協定加盟国への短期滞在にビザが必要な国籍の人々です。
日本国籍の方は、観光や短期商用などの目的でシェンゲン協定加盟国に滞在する場合、原則としてビザは不要です。 あらゆる180日の期間内で最大90日間の滞在が認められています。
ただし、以下のような場合はビザが必要になることがあります。
- 90日を超える滞在: 留学、就労など、長期滞在を目的とする場合。
- 特別な活動: ジャーナリスト活動、一部の芸術活動など、特定の活動を行う場合。
- 過去の渡航歴: 過去にオーバーステイや犯罪歴がある場合など、入国審査で問題があると判断される可能性がある場合。
- その他: シェンゲン協定加盟国によって個別に設けている特別な条件
シェンゲンビザが必要な国籍のリスト、および日本国籍の方の例外規定については、渡航予定のシェンゲン協定加盟国の大使館/領事館のウェブサイトで必ず最新情報を確認してください。
少なくともフィリピン国籍の方、中国籍の方は必須です。韓国籍の方は不要です。
シェンゲン・ビザの申請時期は?
シェンゲン・ビザの申請は、渡航予定日の6ヶ月前から可能です。ビザの発給には審査期間が必要で、通常は約1週間程度かかります。ただし、この日数に書類の準備期間は含んでいません。また、旅行シーズンや、申請書類に不備がある場合は、審査に時間がかかることがあります。
したがって、渡航日の1ヶ月前には準備をはじめ、遅くとも15日前までに申請を完了させたいところです。可能な限り早めに申請することをおすすめします。
また、申請する国の大使館/領事館のウェブサイトを事前に確認し、必要な書類や申請方法、審査にかかる時間の最新情報を必ず確認してください。
シェンゲンビザ申請の実例を解説

フィンランド旅行をする場合
例えば、中国籍のあなたが日本からフィンランドに10日間旅行するとします。この場合、フィンランド大使館または領事館でシェンゲンビザを申請する必要があります(日本国籍で短期滞在の場合は原則不要ですが、ここでは申請が必要なケースとして説明します)。
申請の流れ(一般的な例):
情報収集: フィンランド大使館/領事館のウェブサイトで、シェンゲンビザ申請に必要な書類、申請方法、申請料金などを確認します。
申請書類準備:
- パスポート(有効期限が十分に残っているもの)
- 申請書(指定のフォーマット)
- 写真(パスポートサイズ、最近撮影されたもの)
- 旅行日程表(航空券の予約確認書、ホテルの予約確認書など)
- 滞在費用を証明する書類(銀行の残高証明書、クレジットカードの明細など)
- 海外旅行保険の加入証明書
- その他(必要に応じて、在職証明書、在学証明書など)
大使館/領事館によっては、オンラインでの事前予約が必要な場合があります。必要書類を揃えて、大使館/領事館に申請します。
申請時にパスポートを預け、請書類に基づいて審査が行われます。 審査に通れば、パスポートにシェンゲンビザが貼付され、数日後(フィンランド大使館の場合)に書留郵便にて返送されます。
フィンランド大使館に対するシェンゲンビザ申請料金は、おおよそ15,000円程度です(2024年現在。料金は変動する可能性がありますので、必ずフィンランド大使館のウェブサイトで最新情報を確認してください)。
複数の国を訪問する場合
複数の国を周遊する場合は、滞在期間が最も長い国を選びます。
もし、フィンランドに加えて、スウェーデンとノルウェーも訪問する周遊旅行を計画しているとします。例えば、
- フィンランド:4泊
- スウェーデン:3泊
- ノルウェー:2泊
この場合、フィンランドのシェンゲンビザを申請します。
もし、フィンランドとスウェーデンの滞在期間が同じ4泊で、最初に入国するのがスウェーデンであれば、スウェーデンのシェンゲンビザを申請します。
このように、シェンゲンビザの申請先は、滞在期間や入国順によって決まります。複雑に感じるかもしれませんが、ルールを理解し、ご自身の旅行プランに合わせて、適切な国に申請してください。
必要な場合は、行政書士が助言、書類作成や提出代行などを行います。お気軽にお問い合わせください。
参考:
入管業務
その他の国際業務

