
外国人の無期限雇用(正社員採用)ができる例&できない例

行政書士三品美咲事務所


こんにちは。「TOKYO NYUKAN」行政書士の三品美咲です。
外国人雇用を検討している日本の企業にとって、どの在留資格であれば正規雇用(無期限雇用・正社員)が可能なのかは、非常に重要なポイントですよね。
ここでは在留資格の種類ごとに、正規雇用ができるケースとできないケースを解説します。
どのような仕事も可能な在留資格とは?

以下の在留資格を持つ外国人は就労活動に制限がないため、どのような職種でも無期限雇用(正社員)として採用することが可能です。
永住者
法務大臣から永住許可を受けた外国人です。
定住者
法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める外国人です(例:日系3世、難民認定を受けた人など)。
日本人の配偶者等
日本人の配偶者、特別養子、または日本人の子として出生した者が該当します。
永住者の配偶者等
永住者の配偶者、または永住者の子として日本で出生し、引き続き日本に在留している者が該当します。
こうした在留資格を持つ外国人は、日本人と同様に自由に職業を選択し、働くことができます。
条件付きで正規雇用が可能な在留資格とは?

以下の在留資格を持つ外国人は、一定の要件を満たせば無期限雇用(正社員)として採用することが可能です。
技術・人文知識・国際業務:
専門的な知識や技術を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格です。
原則として大学卒業(またはそれと同等以上の教育)が必要です。技術分野では10年以上の実務経験があれば学歴要件が免除されることがあります。また、従事する業務は専門的な知識や技術を必要とするものでなければなりません。
エンジニア、プログラマー、デザイナー、マーケティング担当者、通訳、翻訳者などが該当する仕事です。単純労働は認められません。
技能
熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格です。外国料理の調理師、スポーツトレーナー、航空機のパイロット、貴金属加工職人などです。
原則として10年以上の実務経験が必要です(調理師は5年以上の実務経験で可能な場合もあります)し、 実務経験の証明が必要です。
企業内転勤
外国にある本社や支店から、日本の事業所に一定期間転勤する外国人向けの在留資格です。
転勤元の企業に1年以上継続して勤務していること、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務であることなどが必要です。転勤期間は更新可能で、原則として5年以内です。
高度専門職:
高度な専門知識や能力を持つ外国人に対して、優遇措置を与える在留資格です。学歴、職歴、年収などをポイント化し、合計70点以上で認定されます。
複合的な在留活動の許可、在留期間「5年」の一律付与、永住許可要件の緩和などがあります。
正規雇用ができない在留資格とは?
以下の在留資格を持つ外国人は、原則として無期限雇用(正社員)としての採用はできません。
短期滞在
観光、親族訪問、短期商用などを目的とする在留資格であり、就労は認められません。
留学
日本の教育機関で教育を受けるための在留資格であり、原則として就労は認められません(資格外活動許可を得れば、週28時間以内のアルバイトは可能です)。
在留期間が切れている
在留期間が切れていると、不法滞在となり、働くことはできません。
不法滞在・オーバーステイは犯罪です。詳しくはこちら。
在留資格で認められていない業務を行う場合
在留資格で定められた範囲外の仕事はNGです。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が工場で単純労働を行うことはできません。アルバイトやタイミーをしたい場合もグレーです。どうしても家庭の事情で副業をする必要があるなどの場合は、まず行政書士などに相談しましょう。
まとめ

外国人を無期限雇用(正社員)として採用する際には、在留資格の種類と従事する業務内容が合致しているかを確認することが重要です。
「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」 は就労制限がないため、どのような職種でも採用可能です。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「企業内転勤」「高度専門職」 は、それぞれの在留資格で認められた業務内容であれば採用可能です。「特定技能」 は特定産業分野において、一定の専門性・技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、原則として正社員としての雇用が可能です(一部の分野では派遣も認められています)。
逆に、正規雇用ができない在留資格も多いです。「技能実習」 は技能の修得を目的とする在留資格であり、無期限雇用(正社員)としての採用はできません。「留学」 は原則として就労できませんが、資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトは可能です(ただし、無期限雇用はできません)。
採用を検討する際には、必ず出入国在留管理庁のウェブサイトで最新情報を確認するか、外国人雇用に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
このほかにも、行政書士 三品美咲事務所では、外国人採用に関するご相談を承っております。丁寧にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
参考文献
在留資格「特定技能」について:https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00127.html
高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度:https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00048.html
外国人留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)について:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html
外国人雇用はルールを守って適正に: https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/library/iwate-roudoukyoku/date/gaikokujinkoyou/pamphlet_dl/koyou_rule.pdf
外国人を雇用する企業向けQ&A – 日本での外国人雇用制度 -: https://www.jetro.go.jp/hrportal/qa/employment.html
在留資格一覧:https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/nyuukokukanri01_00111.html
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について:https://www.moj.go.jp/isa/content/930002535.pdf
外国人を雇用する企業向けQ&A – 日本での外国人雇用制度 -: https://www.jetro.go.jp/hrportal/qa/employment.html
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