

行政書士三品美咲事務所
日本に長く住むベトナム人の方から、「永住と帰化の違いは何か?」「帰化申請に必要な書類は?」といったご相談を多くいただきます。特に近年は技能実習や特定技能で来日後、日本で結婚・就職をして安定した生活を送るベトナム人の方が増えており、「日本国籍を取得したい」というニーズが高まっています。
この記事では、行政書士としての実務経験を踏まえ、ベトナム人の帰化申請に必要な条件・書類・注意点を専門的に解説します。
帰化とは、外国籍を持つ人が日本国籍を取得する制度です。帰化が許可されると、日本人として戸籍に記載され、選挙権や日本旅券(パスポート)の取得も可能となります。
永住権と違い、帰化は国籍そのものを変更する手続きであるため、要件や書類は非常に厳格です。
法務省が定める帰化要件は国籍を問わず共通ですが、ベトナム人特有の事情もあります。
一般的な帰化要件
住所要件:原則5年以上、日本に継続して住んでいること
能力要件:20歳以上(ベトナムでは成年年齢18歳ですが、日本法に従います)
素行要件:交通違反や税金未納がないこと
生計要件:安定した収入(正社員や家族の扶養でも可)
喪失要件:帰化後、元の国籍を離脱できること
ベトナム人特有の注意点
ベトナムは二重国籍を原則認めていないため、帰化が許可された後はベトナム国籍を離脱する必要があります。これに伴い、ベトナム大使館での国籍離脱手続きも発生する点が重要です。
日本側で準備する書類
帰化許可申請書
履歴書
親族の概要書
生計を証明する資料(源泉徴収票・給与明細)
納税証明書
在留カード・住民票
ベトナム側から取り寄せる書類
出生証明書(Giấy khai sinh)
婚姻証明書(Giấy đăng ký kết hôn)
家族関係証明書(Sổ hộ khẩu 等)
※これらはベトナム本国から取り寄せ、日本語に翻訳する必要があります。翻訳の正確さは審査に直結するため、専門家に依頼するケースが多いです。
事前相談(法務局)
申請人が直接、管轄の法務局へ相談予約を取ります。
必要書類の収集
日本・ベトナム双方での書類準備が必要です。
法務局への提出
行政書士が代理提出できないため、必ずご本人が出頭します。
面接調査
日本語能力・生活状況についての聞き取りがあります。
法務大臣の審査
期間はおおむね 1年〜1年半。
帰化許可
官報に公告され、日本国籍を取得します。
「日本語が不安…」 → 面接では日常会話程度の日本語力が求められます。
「税金を滞納したことがある」 → 納税記録は厳しく審査されるため、必ず完納してから申請。
「ベトナムの書類が揃わない」 → 戸籍制度が異なるため、取り寄せに時間がかかる場合があります。
ベトナム人の帰化申請は、一般的な要件に加え、ベトナム国籍の離脱手続きや書類収集の難しさがポイントとなります。専門的な知識と正確な翻訳が求められるため、専門家に相談することでスムーズに進められます。
行政書士三品美咲事務所では、帰化申請をはじめとする外国人の在留・国籍に関するサポートを行っております。ベトナム人のお客様のご相談も多数対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。